医療体制が不十分な山間部や離島といった僻地においても、都市部と同様の救命医療が受けられるようにと運用を開始されたのがドクターヘリです。
現場から医療機関までの搬送時間を短縮し、搭載した医療機器と同乗する医師と看護師により救命医療を行うことができる、というのが最大の特徴です。
フライトナースとはこのドクターヘリに搭乗する看護師のことであり、様々な能力や経験、資質が求められます。
まず、搭乗する医療担当者は医師と看護師の2名のみですので、あらゆる状況に対応可能な看護スキルを持っているというのが前提となります。
また、出動要請から3分以内に離陸する初動の速さを確保するため、出発時には「男性、高齢、意識不明」などといった断片的な情報しかない場合がほとんどです。
そのため、少ない情報のみで状況を推測する力や、現場に到着するまでに効率的に必要な情報を収集する能力、実際の状況に合わせて処置を素早く切り替えるといった柔軟性が求められます。
また、救急隊や警察、医師との連携や調整を行いながら短時間で現場をまとめる必要があるため、高いリーダーシップや協調性も重要となります。
もちろん少人数による僻地での活動であるため、重い機材を抱えて移動するといった基礎的な体力が必要なのは言うまでもありません。
フライトナースになるためには非常に厳しい要件が求められ、実際に採用された後も高い緊張感の中で常に仕事を行うことになります。
しかしそれでも自分のスキルや経験を命を守る最前線で活かしたいという高い志をお持ちの方は、日本の救命医療の将来を担うためにもぜひ挑戦してみてください。